世界童話 美女と野獣
1740年にガブリエル=シュザンヌ・ド・ヴィルヌーヴに最初に書かれた最初に書かれたヴィルヌーヴ版とそれを短縮した、1756年に出版された、ジャンヌ=マリー・ルプランス・ド・ボーモンのボーモン版があります。
ヴィルヌーヴ版はボーモン版に比べ細かな設定がある、長編小説です。現在、広く知られているボーモン版は短く編集され、子供でも読めるような、短編小説となっております。
ボーモン版『美女と野獣』
3人の息子と3人の娘を持つ裕福な商人がおり、二人の姉は高慢で末っ子は、美しい娘でしたが、優しくて気立てもよく、心根が誠実です。
商人は、商売で大損をしてほとんど無一文になり、貧しい暮らしを強いられることになります。買い付けた品が届いたという知らせが入り、港へ出かけることになりますが、裁判沙汰となり商品は手に入りません、その帰り、道に迷いますが、大きな屋敷で、もてなされます。
しかし、末の娘のためにバラを取ってしまいます。その瞬間、恐ろしい姿をした野獣が商人の目の前に現れ、命と引き換えに、美しい娘を差し出しように要求されます。
娘は野獣のもとに行きますが求婚の誘いには応じませんが、ある日、父親が病で床に伏せっていることを知り、野獣に1週間の約束で戻りますが、屋敷での野獣のもてなしを知った、姉達の嫉妬で返してもらえません。
娘は野獣が庭で倒れている夢を見、屋敷に帰り、死にかかっている野獣に、「あなたは死にません、私の夫になるのです。」と告げた時、野獣は、魔法が解け、王子へと元の姿に戻ります。
ヴィルヌーヴ版
王子が老仙女によって野獣にされたくだりや、娘のベルが王家出身であることが詳しく書かれております。
王子は老仙女の求婚を断った腹いせに野獣の呪いをかけられ、心から愛してくれる人が現れない限り呪いを解くことができなくなります。
ベルの母親も仙女で王妃でありますが、若い仙女は人間との婚姻は禁じられており、悪い仙女に幽閉されてしまいます。悪い仙女はベルの養育係として、城に入り込みベルも森の中で殺そうとします。しかし、母親の仙女は森の中でベルを助け、病死した商人の娘と入れ替えます。
ヴィルヌーヴ版は当時の時代背景や身分制度を反映しており、王家や魔法使いとの人間関係が複雑に書かれており、少し読みずらい内容となっており、それを、ボーマン夫人が前半のベルの出自を省略し、わかりやすく書き改めたものです。